小滝橋動物病院 新目白通り第2高度医療センター お電話0359585512
ここでは特徴的な症例について、一部をご紹介いたします。
※手術の写真を掲載しておりますので、苦手な方はご注意ください。
小滝橋動物病院グループ全体の外科症例件数については、>こちらをご参照ください。

壊死性白質脳炎を病因とした構造的てんかんを起こしたチワワ

<はじめに> 脳の病気は時にその症状のひとつとして、てんかん発作を起こします。
脳炎だけでなく大脳奇形、脳腫瘍、脳血管障害(脳卒中)、蓄積病など様々な脳疾患が原因でてんかん発作を起こす可能性があります。
このようにてんかん発作の病因(原因)が特定されるてんかんを「構造的てんかん(以前は”症候性てんかん”と言われていました)」と呼びます。

一般的に構造的てんかんが起こりやすい年齢は、6か月齢未満もしくは7歳齢以上であると言われています。しかしながら、犬に多い脳炎はその間の1〜5歳で発症することが多く、症状がてんかん発作のみのケースも多いです。
MRI検査や脳脊髄液検査をせずにてんかん発作に対する治療のみを行い、一時的に発作がおさまった後で、潜在する脳疾患がさらに進行してしまい重篤化したり治療に対する反応性が悪くなってしまう可能性があります。そのため、ペットがてんかん発作を起こしたら、いずれの年齢でもMRI検査や脳脊髄液検査を行うことが推奨されます。
特に、身体検査と同時に行う神経学的検査で異常が認められる場合は、進行する脳疾患がある可能性が高まります。

<症例紹介>
5歳のチワワちゃんが、1〜2日ごとに発作(右前肢を挙げて全身が細かく震えるのが6分程度持続)を起こすということで紹介来院されました。
身体一般検査・血液検査・神経学的検査に異常はありませんでした。てんかんを含めた脳の疾患を診断するため、精密検査(MRI・脳脊髄液検査・脳波検査)を実施しました。
MRIと脳脊髄液検査では、大脳に壊死性白質脳炎を疑う所見が認められました。また、病変部位に一致する脳領域にてんかん性異常脳波(スパイクや鋭波と呼ばれる)が認められました。
これらの所見から、「壊死性白質脳炎(NLE)を病因とした構造的てんかん」と診断しました。
NLEは若い小型犬の多く発生する原因不明の脳炎です。多くは多発性に病巣を形成し、発症後の進行は比較的早いです。本疾患は遺伝性の自己免疫性疾患と考えられており、原因に対する治療はステロイドや免疫抑制剤の内服をメインに行います。また、症状に対する治療(対症療法)としては、てんかん発作に対する抗てんかん薬・意識レベル低下時の介護・胃腸薬などが含まれます。
構造的てんかんは特発性てんかんに比べ発作コントロールが難しく、必要な薬の量や種類が多くなる傾向にあります。
症例のMRIと脳波所見
本症例は治療開始後、発作頻度の明らかな低下が得られました。今後は定期的な検診で薬の副作用や抗てんかん薬の血中濃度をモニタリングしつつ、内科的治療が継続になります。
脳炎は特に進行が早く、頻度は少ないものの発症後寛解に至らず短期間で亡くなってしまうケースもあります。
当センターでは、他院様からご紹介やセカンドオピニオンも対応可能です。また、なるべく早期の対応を心がけております。お困りの際はご気軽に当院へご連絡ください。

執筆担当:獣医師 大竹
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