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ここでは特徴的な症例について、一部をご紹介いたします。
※手術の写真を掲載しておりますので、苦手な方はご注意ください。
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頚部椎間板ヘルニア:水和髄核の逸脱(Hydrated nucleus pulposus extrusion:HNPE)

HNPEは、まれなタイプの椎間板ヘルニアです。
一般的な椎間板ヘルニア(ハンセン氏タイプ)では、変性し硬くなった椎間板が脊髄を圧迫します。
HNPEでは、ゼラチン状〜液状の物質が高速で逸脱することで脊髄に圧迫性損傷を起こします。ハンセン氏タイプに比べ、逸脱量に対し症状が重度になる傾向があります。
MRI検査でないとこの病態は診断できませんが、椎間板ヘルニアのほとんどを占めるハンセン氏タイプとは大きく異なる臨床経過を辿ります。

椎間板ヘルニアにより脚や尾の麻痺が生じている場合、ハンセン氏タイプでは外科手術(椎弓切除術やベントラルスロット形成術)を行い、脊柱管内に逸脱した椎間板物質を除去することで回復率(歩行改善率)が大きく上昇します。
一方、HNPEでは内科的保存治療(安静/ケージレスト、理学療法、鎮痛剤など)と外科的治療でその後の神経機能回復率に差がないことがわかっており、治療方針が大きく変わります。

HNPEは脊髄造影検査などMRI検査以外での診断は困難です。まれなタイプではあるものの、手術侵襲を回避できる可能性があり、神経疾患に対するMRI検査の価値の高さがよくわかる疾患です。

参考文献
Jasmin Nessler, Cornelia Flieshardt, et al. Comparison of surgical and conservative treatment ofhydrated nucleus pulposus extrusion in dogs. J Vet Intern Med.2018;32:1989–1995.
病変部位のMRI(T2WI横断):逸脱した水和髄核は白くカモメのような特徴的な形態を示す
上段が発症時/下段が発症後35日目のMRI:逸脱物質の消失と脊髄圧迫軽減が認められる
執筆担当:獣医師 大竹
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