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ここでは特徴的な症例について、一部をご紹介いたします。
※手術の写真を掲載しておりますので、苦手な方はご注意ください。
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髄膜炎

髄膜炎は感染性髄膜炎(細菌やウイルスなど)、非感染性髄膜炎に分類されます。
髄膜炎の主な症状は、発熱、元気消失、食欲低下、活動性低下、疼痛が挙げられます。髄膜炎では一般的に麻痺などを生じないため、軽い椎間板ヘルニアでしょうと誤診されていることが多々あります。鎮痛剤の効きが悪い、発熱、食欲不振が続いているなど、通常の椎間板ヘルニアとは異なる症状で来院されることが多い疾患です。
診断にはMRIによる画像検査、脳脊髄液検査が必要となります。
<症例>
3歳 トイプードル 去勢オス
1週間以上続く活動性低下、食欲不振、間欠的な発熱、どこかを痛がるという主訴で来院されました。
神経学的検査では腰部の強い圧痛が認められましたが、後肢に麻痺などは生じていませんでした。レントゲン検査でも明らかな異常所見はみとめられませんでした。
要髄領域の精査のためMRI検査を実施しました。
MRIではL4-5椎体レベルの脊髄髄膜において造影剤にて増強される病変が認められました。
腰部のMRI。上画像:造影剤投与前のT1強調画像、下画像:造影剤投与後のT1強調画像。 造影剤で増強された髄膜が認められる(赤矢頭)。
MRI所見より髄膜炎が疑われたため、腰部より髄液採取を実施しました。画像はCアームという画像検査機器を用いて針を骨の隙間から挿入しているところです。正常な髄液は細胞成分の含まれない水に近い液体ですが、髄膜炎などでは髄液中の白血球細胞数やタンパク質が増加したりと色々な変化を伴います。
本症例では、著しいリンパ球(白血球の一種)の増加が認められました。また、細菌感染を否定するために培養検査を実施しましたが、こちらは陰性であったため、非感染性の髄膜炎と診断しています。
Cアーム撮影下での髄液採取
非感染性髄膜炎の明らかな原因は不明ですが、自己免疫性疾患が疑われています。自己免疫性疾患は自分で自分を攻撃してしまう病気で、今回の症例は自分の髄膜を異物と認識してしまい攻撃している状況と考えられます。そのため、免疫の暴走を抑えるためにステロイド剤や免疫抑制剤と呼ばれる薬を用いた免疫抑制療法が必要となります。本症例もステロイドへの反応が良好であり、投薬後数日にて体調と疼痛の改善が認められました。長期間の投薬が必要となるケースが多いため、定期的に副作用が出ていないか確認をしながら薬を減らしていくこととなります。

椎間板ヘルニアは非常に有名な病気ですが、背中の痛み、首の痛みを示す病気は髄膜炎をはじめ他にもたくさん存在します。MRI検査を実施しないとわからない病気も非常に多く、中には命に関わる病気も存在しますので、症状がでた場合には早めにご相談ください。
執筆担当:獣医師 武藤
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