小滝橋動物病院 新目白通り第2高度医療センター お電話0359585512
椎間板ヘルニアの低侵襲手術:PLDDについて
概要

当院では犬の椎間板ヘルニアに対して、PLDD(日本語で“経皮的レーザー椎間板髄核減圧術”と言います)の施術を行っております。この治療はヒト医学領域では「日帰り椎間板ヘルニア手術」として確立されており、実績のある方法です(ただし、ヒトでは健康保険適応外です)。近年になって、安全性も含めて犬に対しても同様の治療が適応可能であることがわかり、一部の動物病院でも行われるようなりました。
本治療は椎間板にレーザーを照射(焼烙)することで椎間板の容積を減らし減圧をします。またレーザーの特性により、脊髄への血行促進効果や疼痛緩和効果なども期待できます。

特徴

一番の特徴は、体に大きな傷をつけずに椎間板による脊髄圧迫の減圧が可能な点です。
※内科的な治療法(痛み止めや安静など)では直接的な減圧はできません。 目立つ傷は無く(針穴のみ)、経過が順調であれば手術の翌日に退院することができます。
また、合併症発生率が低いことも特徴に上げられます。
さらに、通常の手術(椎弓切除術)では対応が難しい3か所以上の多発性の椎間板ヘルニアに対しても、複数か所同時に施術が可能です。
ただし、全身麻酔が必要となります(イメージとしては外科的手術と内科的保存治療の中間の方法)。

適応

麻痺まで進行していない椎間板ヘルニアの症例に対して適応されます。
※麻痺まで進行しており歩行が完全にできない状態では椎弓切除などの外科的手術が優先されます。
特に多発性の椎間板ヘルニアで痛みやふらつきが症状の場合が良い適応となります。
最終的には症状と画像診断情報を総合して適応を判断します。

適応(全身麻酔下で行います)

まず針を刺す部位を剃毛・消毒します。皮膚を経由して目的の椎間板に針を刺入します。
※透視エックス線装置を用いてリアルタイムで針の位置を確認します。
刺した針をガイドにレーザーファイバーを通し、椎間板髄核内で照射を行います。
治療にかかる時間の目安は1か所あたり3-5分間程度です。

安全性

2021年7月時点で当院では73症例(245椎間、頚部と胸腹部両方含めて)施術を行いましたが、疼痛以外の重篤な合併症はほとんど経験しておりません。疼痛に対しては2種類以上の鎮痛剤を用いて対応します。
起こりうる合併症を以下に挙げます。
疼痛、出血、針刺入部位の感染、脊髄や神経根への誤照射、麻痺の進行など

注意点

本治療法で最も大事なことは、PLDD治療に適切な状態であるか否かを見極めることです。そのため治療前には必ず施術者によるチェックを行います。
また、治療計画を立てるため必ずMRI検査もしくは脊髄造影CT検査の画像が必要です。
治療に関してのご相談は是非お気軽にしていただけたらと思います。

小滝橋動物病院新目白通り第2高度医療センター
脳神経科担当 獣医師 大竹大賀